auカブコム証券は主要なネット証券の中でもクロス取引で重要な一般信用取引が可能な銘柄が多いので頻繁に利用するのですが、クロス取引の手数料が意外にかかるなぁと感じていました。
納得して手数料を支払うためにも、auカブコム証券のサイトを確認してどんな手数料がかかっているのかを紐解いてみました。
まずはクロス取引の簡単な流れをおさらい
優待をクロス取引で取得するには現物の保有と信用売りの建玉が必要となり、仕込みから取得までに下記の注文が必要になります。
- 買い建玉の注文(一般信用)
- 売り建玉の注文(一般信用)
- 信用買いの品受注文(信用→現物)
- 権利落ち日の品渡注文(買売建玉相殺)
現物の保有する際には信用買いではなく直接現物買いでもいいのですが、auカブコム証券では現物買いの手数料より信用買いから品受する方が手数料を安く済ませるので上記1,3の段取りになっています。
クロス取引の手順については以下の記事を参照して下さい。
各注文で発生する手数料
ここでは具体的に手数料を計算する為、下記のような銘柄で取引したと想定します。
銘柄A
株価:1,000円
株数:100株
約定日:2020/06/01
権利落ち日:2020/06/29
銘柄B
株価:300円
株数:1200株
約定日:2020/03/26
権利落ち日:2020/06/29
実際にはありえませんが、保有期間中は株価に変化がない想定で計算します。
1.買い建玉の注文(一般信用)にかかる費用
貸株金利 1日分
銘柄A
株価:1,000円 × 株数:100株 × 年利:3.79% ÷ 365日 × 1日分 = 10円(端数切捨)
銘柄B
株価:300円 × 株数:1200株 × 年利:3.79% ÷ 365日 × 1日分 = 38円(端数切捨)
auカブコム証券では信用取引手数料はかかりませんが、貸株金利が発生します。買建ての貸株金利が制度信用(年利:3.98%)より一般信用(年利:3.79%)の方が安い為、一般信用で買建て注文をします。信用取引の際には貸株金利が1日毎に発生しますので寄り前に注文し、約定日中に品受すれば貸株金利は1日分になります。
2.売り建玉の注文(一般信用)にかかる費用
貸株金利 約定後の受渡し日から品渡後の受渡し日までの日数分
銘柄A
株価:1,000円 × 株数:100株 × 年利:2.25% ÷ 365日 × 29日分 = 179円(端数切捨)
※金利発生日数の考え方は約定した日から2営業日後から品渡した日から2営業日後までの日数です。
例の銘柄だとこうなります。
約定日:6月1日(月) → 受渡日:6月3日(水)
権利落日:6月29日(月) → 受渡日:7月1日(水)
6月3日から6月29日まで(両日とも含めます)の29日分
銘柄B
株価:300円 × 株数:1200株 × 年利:2.25% ÷ 365日 × 94日分 = 2,087円(端数切捨)
※金利発生日数の考え方は約定した日から2営業日後から品渡した日から2営業日後までの日数です。
例の銘柄だとこうなります。
約定日:3月26日(木) → 受渡日:3月30日(月)
権利落日:6月29日(月) → 受渡日:7月1日(水)
3月30日から7月1日まで(両日とも含めます)の94日分
買い建玉の注文には信用取引手数料はかかりませんが、貸株金利が発生します。
実際には日々株価は変化しますので、毎日その日の株価×株数に1日分の金利を算出して累計されています。
…たぶん終値で計算してるのかな?
3.信用買いの品受注文にかかる費用
品受事務手数料
品受及び品渡注文時に発生する事務手数料は以下の料金テーブルの通り取引金額に応じて適用されます。
銘柄A 99円(内消費税9円)
銘柄Aだと株価1,000円×100株なので取引金額が10万円となり、手数料は90円(税抜)が適用されます。
銘柄B 198円(内消費税18円)
銘柄Bだと株価300円×1200株なので取引金額が36万円となり、手数料は180円(税抜)が適用されます。
品受・品渡手数料
品受・品渡金額 | 手数料 |
10万円以下 | 90円 |
10万円超~20万円以下 | 135円 |
20万円超~50万円以下 | 180円 |
50万円超~60万円以下 | 539円 |
60万円超~70万円以下 | 629円 |
70万円超~80万円以下 | 719円 |
80万円超~100万円以下 | 760円 |
100万円超~200万円以下 | 940円 |
200万円超~500万円以下 | 1,100円 |
500万超 | 1,200円 |
現物手数料
約定代金 | 手数料 |
---|---|
10万円 | 90円 |
20万円 | 180円 |
30万円 | 250円 |
50万円 | 250円 |
100万円 | 990円 |
200万円 | 1,890円 |
400万円以上 | 3,690円 |
現物で10万円を超える場合は直接現物注文するより信用取引経由で品受した方が安くなりますね。
逆に10万円以下だと、1日分の貸株金利がかかる分少し高くなってしまいます。
4.権利落ち日の品渡注文にかかるあ費用
品渡事務手数料
品渡にかかる料金も上記の料金テーブルになりますので、下記の通りです。
銘柄A 99円(内消費税9円)
銘柄Aだと株価1,000円×100株なので取引金額が10万円となり、手数料は90円(税抜)が適用されます。
銘柄B 198円(内消費税18円)
銘柄Bだと株価300円×1200株なので取引金額が36万円となり、手数料は180円(税抜)が適用されます。
5.上記以外にかかる費用
auカブコム証券の場合には上記以外にも発生する費用があります。
それが信用取引の建玉が1ヶ月以上経過する際にかかる事務管理費なるものです。
この算出方法を読み解くのが難しかった…。
auカブコム証券のサイトには以下の通り説明されています。
信用事務管理費
新規建日より起算した1ヶ月毎の応答日を越えるたび、1株につき10銭(単元株制度の適用を受けない銘柄は100円(税抜))、100円(税抜)に満たない場合は最低100円、上限1,000円(税抜)の信用事務管理費が発生します。同一銘柄で同一約定日の建玉はまとめて算出し、売り建玉と買い建玉は区別いたします。
なお、「課税区分(特定・一般)」「取引区分(制度・一般)」が異なりましても同一銘柄で同一約定日の建玉の場合にはまとめて算出し、株数の多い順に按分いたします。
※事務管理費の応答日(1ヶ月)の判定は、新規建玉日の翌月の同日付(例えば3/14に新規建てした場合は、4/14で1ヶ月、5/14で2ヶ月)となります。3/14に新規建てを行い、4/14(応答日)に返済された場合には事務管理費は発生いたしません。4/15に返済した(応答日を越えた)場合より発生いたします。
人気のある優待銘柄は競争率が高く、1ヶ月以上前から注文しておかないと確保できないことも多々あります。その際に管理事務費なるものがかかってくるということです。
銘柄A 0円
銘柄Aは信用建玉の保有が1ヶ月に満たないので管理事務費はかかりません。
銘柄B 360円
1,200株 × 10銭 × 3ヶ月 = 360円
それぞれの手数料
銘柄A にかかる手数料(概算)
10円 + 179円 + 99円 + 99円 = 387円
銘柄B にかかる手数料(概算)
38円 + 2,087円 + 198円 + 198円 + 360円 = 2,881円
まとめ
ということで、auカブコム証券のクロス取引にかかる手数料を紐解いてみました。
SMBC日興証券とauカブコム証券をメインで利用しているので、どうしても両者を比較してしまいます。
SMBC日興証券ではかからない「品受・品渡手数料」と「事務管理費」がかかってしまう分、手数料が高くなっています。
とはいえ、その手数料を考慮してもauカブコム証券の一般信用在庫の豊富さには魅力がありますね。
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